業務委託契約書のひな型を探しているとき、見落とされやすい法律があります。「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)です。
相手が従業員を使っていない個人や一人法人なら、契約書の有無にかかわらず、いくつかの義務がかかります。条文で確かめました。
| 用語 | 条文での定義 |
|---|---|
| 特定受託事業者(受ける側) | 従業員を使用しない個人、または、一の代表者以外に他の役員がなく従業員も使用しない法人(2条1項) |
| 業務委託事業者(頼む側) | 特定受託事業者に業務委託をする事業者(2条5項) |
| 特定業務委託事業者(頼む側のうち規模があるもの) | 従業員を使用する個人、または、2以上の役員があるか従業員を使用する法人(2条6項) |
| 業務委託 | 物品の製造(加工を含む)・情報成果物の作成の委託、または役務の提供の委託(2条3項) |
「情報成果物」にはプログラム、映像・音声、文字・図形・記号で構成されるものが含まれます(2条4項)。デザイン、原稿、動画、ソフトウェアの外注は、ほぼこれに当たります。
3条1項は、業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日その他の事項を、書面または電磁的方法により明示しなければならない、と定めています。
内容が定められないことにつき正当な理由があるものは、その時点では明示を要しませんが、定まった後、直ちに明示しなければなりません(同項ただし書)。
メールやチャットで明示した場合でも、相手から書面の交付を求められたときは、遅滞なく交付しなければなりません(3条2項)。
4条1項は、報酬の支払期日について、給付の内容を検査するかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない、としています。
| 決め方 | 条文上どうなるか |
|---|---|
| 支払期日を決めなかった | 給付を受領した日が支払期日と定められたものとみなされます(4条2項) |
| 受領日から60日を超える期日にした | 受領日から起算して60日を経過する日が支払期日と定められたものとみなされます(4条2項) |
| 元請けから受けた仕事を再委託した場合 | 元委託支払期日から起算して30日以内。ただし再委託である旨などを3条1項により明示した場合に限ります(4条3項) |
「月末締め翌々月末払い」は、受領日によっては60日を超えます。決める前に日数を数えてください。
5条1項は、政令で定める期間以上行う業務委託について、次の行為を禁じています(契約の更新により継続することとなるものを含みます)。
5条2項は、期間を問わず、自己のために金銭・役務その他の経済上の利益を提供させることや、相手の責めに帰すべき事由がないのに給付の内容を変更させ・やり直させることによって、相手の利益を不当に害してはならない、としています。
ブラウザだけで使えます。インストールは要りません。
このツールは契約書の文案作成を補助するものです。でき上がった文案が個々の取引に適しているか、法令の要件を満たしているかについては、弁護士にご確認ください。このページも法的な助言ではありません。
関係することがあります。2条1項2号は、一の代表者以外に他の役員がなく、従業員も使用しない法人も「特定受託事業者」としています。いわゆる一人法人は対象です。
かかります。3条1項は「業務委託をした場合は、直ちに」明示しなければならないとしており、契約書の有無を条件にしていません。
3条1項は書面または電磁的方法による明示を求めているので、電磁的方法でも足ります。ただし3条2項により、相手から書面の交付を求められたときは、遅滞なく交付しなければなりません。
受領日から60日を超える場合があります。4条1項は受領した日から起算して60日の期間内、かつできる限り短い期間内で定めることを求めています。60日を超えて定めた場合、4条2項により、受領日から60日を経過する日が支払期日と定められたものとみなされます。
4条2項により、給付を受領した日が支払期日と定められたものとみなされます。