AIに提案書の骨子を作らせると、驚くほど整ったものが出てきます。課題があり、施策があり、導入効果が数字で入っています。
その数字は、どこから来たのでしょうか。
生成AIは、文章として自然になるように数字を置きます。「作業時間が40%削減」「初年度でROI 180%」といった値が、何の計算もなしに出てきます。もっともらしいので、そのまま提案書に残ってしまいます。
その数字が、提案先に出す書類に載ります。法人向けの提案書そのものは、景品表示法が対象にしている「一般消費者に対する表示」ではありません(同法5条柱書・1号は「一般消費者に対し」としています)。つまり景表法の問題にはなりにくい。
危ないのは、その先です。提案書に書いた数字は、たいていそのまま会社案内やサービス紹介のページへ流れていきます。そこは一般消費者が見る場所です。そうなった時点で、景品表示法5条1号——商品または役務の品質・規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示——の話になります。
そして法人向けであっても、根拠を示せない数字を出したことが後から分かれば、その取引そのものの信用がなくなります。罰則の有無とは別の問題です。
★AIが出した数字を消すのではなく、「どこで測ったか」を自分で書けるものだけ残してください。測っていないなら、数字ではなく手順を書きます。「現状の作業時間をまず1週間測ります」のほうが、相手には誠実に見えます。
| 欄 | AIに任せてよいか |
|---|---|
| 相手の課題 | ヒアリングした内容だけを書きます。AIの推測を混ぜない |
| 導入効果の数字 | 実測した値か、計算の前提を示せるものだけ。示せないなら数字を入れない |
| 他社の事例 | ★実在しない事例をAIが作ります。自社に事例がなければ書かない |
| 見積の金額 | 自分で計算します |
| 構成・言い回し | AIに任せてよい部分です |
導入事例は特に危ないところです。生成AIは「A社様では3か月で…」という形の文章を平気で作ります。実在しない事例は、相手が1本電話をかければ分かります。
AIが作るのは下書きです。数字・事例・相手の課題は、出す前に必ずご自身で確かめてください。このツールは提案書の作成を補助するものであり、表示内容の適法性を保証するものではありません。
測った値か、計算の前提を示せるものだけ使ってください。法人向けの提案書そのものは景品表示法の「一般消費者に対する表示」ではありませんが、その数字は会社案内やサービス紹介のページへ流れていきます。そこに載った時点で同法5条1号の話になります。法人向けのままでも、根拠を示せない数字は取引の信用を失わせます。
いけません。生成AIは実在しない事例を作ります。自社に実績がなければ、事例の欄は空けるか、章ごと外してください。
「まず1週間、現状の作業時間を測ります」と書くほうが、根拠のない40%より信用されます。測ったあとに、測った数字で書き直せます。
入れた前提のとおりに計算するだけです。前提の数字はご自身で用意してください。