経費精算まわりでいちばん誤解が多いのは、「紙をスキャンして捨てること」と「メールやWebで受け取った領収書を残すこと」が、まったく別の話だという点です。
前者は任意、後者は義務です。条文で確かめて並べました。出どころは最後に置いています。
| やること | 任意か義務か |
|---|---|
| 紙の領収書をスキャンして電子で保存する(スキャナ保存) | 任意。電子帳簿保存法4条3項は「保存に代えることができる」と定めています。やらなくても構いません |
| メール・Web・EDIなどで受け取った(送った)取引情報を電子のまま保存する(電子取引) | 義務。電子帳簿保存法7条は「電磁的記録を保存しなければならない」と定めています |
つまり、紙は紙のまま保管して構いません。一方で、Amazonの購入明細、クレジットカードのWeb明細、メールで届いたPDFの請求書などは、印刷して紙で保管するだけでは足りません。データのまま残す必要があります。
電子帳簿保存法施行規則4条1項は、次の4つのうちいずれかを行うことを求めています。
4つめの「事務処理の規程を定める」は、特別なシステムを入れなくても満たせます。小さな会社が現実的に選びやすいのはここです。
同じ規則4条1項には、検索の要件についてのただし書きがあります。保存している電磁的記録の提示・提出の求めに応じられるようにしてあり、かつ「判定期間に係る基準期間における売上高が五千万円以下である事業者」である場合は、検索の要件が除かれます。
売上がこれを超える場合でも、電磁的記録を出力した書面を「整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された」状態で提示・提出できるようにしてあり、あわせてデータの提示・提出の求めにも応じられるなら、同じく検索の要件は除かれます。
「基準期間」は、個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度です(規則4条2項3号)。
規則4条3項は、災害その他やむを得ない事情で保存できなかったことを証明したとき、または所轄税務署長が保存できなかったことに「相当の理由」があると認め、かつ電磁的記録とその出力書面の提示・提出の求めに応じられるようにしているときは、1項の要件によらずに保存できる、と定めています。
| 課税仕入れを行った時期 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 令和5年10月1日 〜 令和8年9月30日 | 仕入税額相当額の80% |
| 令和8年10月1日 〜 令和11年9月30日 | 仕入税額相当額の50% |
| 令和11年10月1日 以降 | 控除できません |
これは適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについての経過措置です。免税事業者の取引先が多い場合、令和8年10月以降は控除できない分がそのままコストとして増えます。
基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。取引先がインボイス発行事業者かどうかは関係なく、免税事業者からの仕入れでも同じです。
ブラウザだけで使えます。インストールは要りません。
このツールは経費の記録と集計を補助するものです。消費税の申告内容や、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの最終的な判断については、顧問税理士または所轄税務署にご確認ください。領収書画像の読み取り(OCR)やタイムスタンプの付与の機能はありません。
いいえ。スキャナ保存は電子帳簿保存法4条3項で「保存に代えることができる」とされている任意の制度です。紙のまま保管して構いません。義務なのは、電子で受け取った取引情報を電子のまま保存すること(同法7条)です。
電子帳簿保存法7条は、電子取引を行った場合には電磁的記録を保存しなければならないと定めています。印刷した紙だけでは、この義務を満たしたことになりません。
電磁的記録の提示・提出の求めに応じられるようにしてあり、かつ基準期間における売上高が5,000万円以下であれば、検索の要件は除かれます。売上がこれを超える場合でも、出力書面を取引年月日その他の日付および取引先ごとに整理した状態で提示・提出できるようにしてあれば、同じく除かれます。
いいえ。規則4条1項が挙げる4つの措置のうち、「正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理の規程を定め、運用し、備え付ける」方法でも満たせます。
令和8年10月1日から令和11年9月30日までに行う課税仕入れは、仕入税額相当額の50%です。令和8年9月30日までは80%でした。令和11年10月1日以降は控除できません。
税込1万円未満です。1回の取引の金額で判定するため、5,000円の商品と7,000円の商品を同時に買った場合(合計12,000円)は対象になりません。対象者は、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者です。